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【2019年版】セーフティエリアの新しい規定について【映像制作基礎】

セーフティエリアの新しい規定について
映像制作をしていく中で、セーフティエリア(セーフティゾーン、セーフマージン、テレフレ等とも呼ばれています。)という言葉を耳にされることと思います。しかし、インターネット上では古い情報も残ってしまっており、これから映像制作を始める方にとっては、分かり難い状態になっていました。

そこで、セーフティエリアに関する情報をまとめてみました。内容は2019年現在です。

 

セーフティエリアとはなにか

日本ポストプロダクション協会(JPPA)発行の「ポストプロダクション技術用語集」には次のように書かれています。

セーフティエリア、セーフティマーカー

視聴者のテレビ画面上で確実に表示される領域で、安全フレームとも呼ばれる。テレビ受像機、特にブラウン管テレビはメーカーや機種間の違いによって、表示フレームの領域が微妙に異なる。そこで、あらゆるメーカーや機種を想定して、確実に画面上に表示される領域のことをセーフティエリアといい、制作者のモニター画面上にこの領域を表示するのが、セーフティマーカーである。(後略)

一般社団法人 日本ポストプロダクション協会「ポストプロダクション技術用語集」第5版 88Pより引用(2013年発行)

簡単に説明すると「テレビでは映像の端が切れてしまうので、少し余白をとりましょう。それを『セーフティエリア』と呼び、規定します。」ということです。

引用ではブラウン管時代の古いテレビに言及していますが、現在の液晶テレビでも同様に僅かに端が切れている場合がほとんどです。

近年では、映像はテレビ以外でも視聴されるようになりました。

YouTube等の動画共有サイトの映像は、パソコンやスマホで視聴される場合がほとんどです。これらの環境での場合は端まで100%表示されると考えて問題ないのですが、プロとして実務レベルで納品する場合は、セーフティエリアを意識することは非常に大切です。

映像の納入先がテレビに映して上映する場合もありますし、たとえYouTubeであってもテレビで再生されるかもしれないからです。

セーフティエリアのサイズについて

実は、セーフティエリアの大きさは時代とともに変化しています。以前は「アクションセーフ80%、タイトルセーフ90%」でしたが、現在は異なります。しかし、インターネット上の古い情報や、ソフトウェアの設定が最新の規格に合わせて更新されていないため、多くの制作者を惑わせてしまっています。

誰がこのルールを決めているのか

現在制作されている16:9ワイドスクリーンの画面における、セーフティエリアについては、一般社団法人電波産業会(略称:ARIB ※アライブと読みます)がTR-B4で規定しています。

技術資料の入手について(TR-B4)|一般社団法人 電波産業会

TR-B4というのは技術資料のただの番号ですので、覚えなくても大丈夫です。他にも沢山の技術資料がこのような番号で管理されています。
※ちなみにこの情報は少し前まで無料で閲覧できたのですが、有料になっていました。

2019年現在の規格

ここからが本題ですね。

先ほど引用したJPPAが発行する「ポストプロダクション技術マニュアル」には以下のように書かれています。

ARIBでは、TR-B4においてアスペクト比16:9放送画面におけるセーフティゾーンについて規定している。(中略)情報範囲は93%に設定されたエリアで、通常テレビフレーム(テレフレ)と呼ばれている。重要情報範囲は90%に設定されたエリアで、一般的に「タイトル安全フレーム」と呼ばれている。

一般社団法人 日本ポストプロダクション協会「ポストプロダクション技術マニュアル」第7版 143Pより引用(2015年発行)

セーフティエリア(2019年現在)

「情報範囲」「重要情報範囲」「安全範囲」という言葉の意味については、ふじのんさんが以下のように解説してくださっています。

それぞれの意味は、
「情報範囲」番組制作において画像情報の基準となる表示再現範囲をいう。
「重要情報範囲」スーパー文字、図形などの画像情報の表示再現範囲をいう。
「安全範囲」提供スーパー文字などの画像情報の表示再現範囲をいう。
となっている。

https://ameblo.jp/fuji007/entry-11193231092.html

ameblo.jp

これらの情報をまとめると、「基本的に93%の範囲内に入っていれば画面に映ると想定できるが、文字情報等の重要な情報は90%以内に収めるべき」と考えられます。

それではこれらの情報を元に、実際どのように制作すればよいか、注意点を含めて解説します。

実制作でのセーフティエリアに対する考え方

tasobaの制作方法

 tasobaは次のように考えて画面をレイアウトしています。

文字情報は上下90%を基本に配置し、左右は93%まで許容するが、レイアウト的なバランスから、画面端ギリギリにはなるべく配置しない。

セーフティエリアは、横長の画面に対して%で指定されているため、上下と左右で僅かに隙間が異なり、バランスが崩れる傾向があります。そのため上のように考えてレイアウトしています。

また、セーフティエリアを意識しすぎると、なぜか文字をギリギリに配置しなければならないように感じてしまいがちです(経験談)。セーフティエリアはあくまでガイドライン。はみ出さなければ大丈夫です。画面全体のバランスをしっかりみて判断しましょう。

また撮影があるなら、撮影時に次のように意識しておくべきです。

  • 編集で左上や右上に番組タイトル等を入れるかも?
  • ナレーションや出演者のコメントを画面下にテロップで表示するかも?

大抵の場合、多少の余白があった方が編集しやすい映像になります。フレームぎりぎりに被写体を配置してしまうと、テロップの場所が無くなってしまうかもしれません。

各ソフトの設定箇所

編集ソフトの場合

93%と90%を確認したい場合は、図のように「7」と「10」を入力します。

Adobe Premiere Pro
「ファイル」▶「プロジェクト設定」▶「一般」から設定

f:id:tasoba:20190703231636j:plain

Adobe After Effects
「環境設定」▶「グリッド&ガイド」から設定

f:id:tasoba:20190703231756j:plain

デザインソフトの場合

PhotoshopIllustrator等は、ガイドや最終的に非表示にするレイヤーなどを使って確認するのがベターだと思います。標準でHDTV用のプリセットが用意されていますが、古い規格(90%と80%のみ)のままで変更できません。

f:id:tasoba:20190703231831j:plain

まとめ

すこし難しい話題でしたが、なかなか情報がないので取り上げてみました。内容的に注意深く推敲したつもりですが、間違いなどの指摘があればお知らせください。

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